【コラム①】「リスクを取るということ」

【コラム①】「リスクを取るということ」2015年6月27日発行 メルマガ146号



先週末、学生時代の友人に会いました。友人は今年1月に長女を授かり、パパになってからという意味では初めての対面でした。

彼の口からは、「今、幸せだ」という言葉が何度も出てきました。そのことが私にはとてもうれしかった。

彼は今、公認会計士として活躍しています。
一度就職をしたものの転職を決意。新しい道として本気でチャレンジできるものを探して見つけたのが会計士だったそうです。

20代後半に職を辞して勉強を開始。そして30歳までの3年間という貴重な月日を、試験合格に賭けたのです。

その間、彼は無職でした。実家に戻り多少のアルバイトをしながらも蓄えを取り崩しながらの専門学校での勉強生活。当時は「正直、外出するときに近所の人に会うのも嫌だった」と改めて教えてくれました。

その頃も彼とは何度か酒を酌み交わしていましたが、正直当時の私は、彼がなぜそこまでしてリスクを取るのか、理解できませんでした。

社会人のキャリアアップのためにも脂の乗った時期に、専門学校の自習室にこもりながらひたすら勉強を続ける。友人の成功を願いながらも、合格率数%の狭き門ですから、その努力が報われる可能性は客観的に見て極めて低いなと思っていました。

その当時のことに話題を向けると、彼は、こう振り返ってくれました。

「今思えば、よくやってたなと思うけど、当時は自分のやっていることをそこまでリスクとは思っていなかったんだよね。

それよりも、自分がどこまでやれるのかチャレンジしてみたかった。3年やってダメなら諦めようと思っていたけど、不思議と弱気にはならなかった。 まあ、子どものいる今なら絶対にできなかったけどね」

一方、大したリスクを取ることもなく社会人生活を送ってきた私でしたが、家庭を持ち、家を構え、子どもが生まれてから、ようやく彼の行動が少しずつ理解できるようになりました。

そして、自分自身にできる範囲ではありますが、「実名で世の中に発信をする」という行動を始めました。

実名発信は、時に誹謗中傷されることもあれば、誤解を受けることもありますし、会社員としてのキャリアに何らか支障が出ることも考えられます。

人はそれをリスクと呼ぶのかもしれません。

でも、私は今、それらをリスクだとは考えていません。

「本当にやりたいと思ったことをやらずに、いつか後悔する」というリスクに比べれば、今取っているリスクなど、足元にも及びません。

友人はきっと、当時からそのことをよく分かっていたんだろうなと思います。

試験合格から6年が経ち、今ではバリバリ活躍している友人が、最近は家族の顔見たさに、日々少しでも早く帰宅する努力をしているそうです。

今の自分にとって一番大切だと思えることを、ストレートに大切だと言い切り、実行に移す。

これは簡単なようでいて、とても難しいことのように思います。

私も負けていられませんね。

皆さんも久々に、あの頃の友人に会ってみてはいかがですか?

(了)