第3章 「文章発信」と、「文章スキル」は関係ない

3-1・ライターだった私が、発信に躊躇していた理由



では、いよいよここから本題に入っていきます。

第1章ではあなたの一歩を阻む要因を見ていき、第2章では、発信によって実現できることを見ていきました。

一歩を踏み出す大変さと、それに対して実現できたときの達成感を、私の経験に基づき紹介してきました。

では、両者のギャップを埋めるにはどうしたらいいのか。私なりに考えてきたことをこの章にまとめています。

第3章のタイトルは、「『文章発信』と、『文章スキル』は関係ない」。

ここでいう「スキル」とは、例えば以下のような類の文章術のことを指しています。

「最後まで読んでもらえる『書き出し』の極意」
「体言止めの上手な活用方法」
「グッとくる見出しの付け方」

実際にこういったスキルがないよりはあったほうがいいとは思いますが、それは十分条件であり、必要条件ではありません。

なぜなら、商業ライターとして、延べ1,000名以上の取材・記事編集を手がけてきた私自身、かつては、自分の名前で発信することへ大きな抵抗を覚えていたからです。

もし、「文章発信」と「文章スキル」に相関関係があるのだとしたら、私は何の抵抗感もなく発信できていたはずです。

でも、ダメでした。

2009年、「裕じろう」というペンネームを使ってブログを始めたものの、そのブログはスタートから20回程度更新しただけでストップしてしまいました。

東日本大震災が起きるまでは、実名を使って意見を伝える勇気もなく、発信し続ける意義も見出せませんでした。

このとき痛感しました。
「発信に必要なのはスキルじゃない」と。

では、具体的に「文章発信」と「文章スキル」とはどう違うのでしょうか。

次節以降で見ていきたいと思います。