0.はじめに

これだけ自己発信のチャンスがあるのに、自信が持てないあなたへ


「自分の意見を発信したいが、誰かを傷つけてしまうのが怖い」 

「文章を否定されたことがあり、そのことが忘れられない」
「続けるのは面倒だし、なかなか一歩が踏み出せない」 

ブログやSNSなどの発展により、現在は至るところに自己発信のチャンスがあります。不特定多数の方に自分の伝えたいことを実名で発信し、多くの読者の方とつながり、結果として出版や独立といった自己実現につなげていく。

一昔前であれば、簡単には叶わなかったセルフメディアを持つということが、当たり前になってきています。

一方で、他者のセルフメディアを横目に、冒頭のような理由を並べては、発信に踏み出せない方々も数多くいらっしゃるように思います。

もしあなたがその一人だったとしたら、発信できない理由を、「文章を書く」ということへの抵抗感だったり、自信の欠如だったり、と考えてはいないでしょうか。


私は 4 年間、「東日本大震災を忘れない」というメッセージを世の中に浸透させていくため、非営利のボランティアライターとして、メルマガ発行(約 140 号)、Facebook ページでの発信(約 250 回)、ブログ更新(約 100 回)、書籍(1 冊)などを書き続けてきました。

活動のきっかけは、震災3ヶ月目に訪れた宮城県石巻市の惨状と、偶然時間を共にした一人の女性との出会いです。

女性は、大震災発生直後、津波により家を失い、取るものも取らずに避難所に逃げ込んだそうです。時が経ち、諦めにも似た感情を抱きながらも、それでも何か生きる希望を探しに、その日も流された家の付近を歩き回っていました。
声を掛けた私に対して、震災当日の様子からその日までの出来事を、30分以上話してくれました。

「こんなにすごい津波と思っていなかったから、家に帰ってくるつもりで軽装で避難したら、すべて流されてしまった…」
「あそこの小学校に逃げた人は、津波が来たとき、階段で上がって、最後はなんとか裏山に逃げられたんだ。でも、車で逃げていた人は、車の中で待機していたものだから、津波の後、ドアが開かなくなってしまって……。そこに、スパークが起こってしまった。火の海の中、誰もそれを助けることはできなかった……」
「波は2陣、3陣と押し寄せてきて、最後は川の方に全部持っていってしまった。ここには何も無くなってしまった。それでも、何かないか探しに来たんだ」

リアルな話は、当時の様子を呼び起こします。とはいえ、つらいことばかりじゃなく、うれしい言葉もありました。

「私たちもあと一歩でどうなっていたか分からないけど、何も無くても、今生きていることが何よりありがたい」

話を聞き終え、帰京する車中で、自分にこう約束しました。

「ここで聞いたこと、見たことを、微力でもいいから世の中に伝えていこう。合わせて、『東日本大震災を忘れない』というメッセージを被災地に送り続けよう」と。

その日、私は小さな小さな使命感を手にしました。「この発信は私にしかできない」そんな微力ながらも力強い使命感です。

そして、数ヶ月後、ボランティアライターとしての活動を始めるようになったのです。


過去、商業ライターやライティングコーチとして、取材執筆など延べ 1,000 名以上の方の記事作成や執筆のサポートをしてきましたが、ボランティアライターとしての取り組みはその比ではない難しさがあります。 

決定的に違うこと。それは、読者である不特定多数の方の中には、実際に家を流されてしまったり、親族を亡くされたり、今も震災の影響を受けながら生活したりしている方がいて、その方々の心情に対して最大限の配慮をしつつも、自分の想いをきちんと伝えなければいけないということです。
自分が否定されるだけなら、それでも構いません。でも、そうではなく、苦しい思いをしている方をさらに傷つけるような発信になっていたとしたら……。そんな恐怖心を抱き続けながら、それでも 4 年間、止めることなく書き、実名で発信し続けてきました。

4年間の活動によって実感したこと。
それは、「自己発信で最も大切なことは、『文章スキル』ではなく『発信する勇気』である」ということです。そして、この勇気を自然と奮い立たせるために欠かせないのが「使命感」です。

4年前までの私は、自分の名前を前面に出して想いを伝える上での使命感を持ち合わせていませんでした。

企業の一担当としてライティングをしたり、経営者の記事を黒子として編集したりするだけの、守られた存在でした。

自分の名前で発信をすることは、ともすると他者から思わぬ批判を受けてしまう可能性があります。誰にも相手にされないという孤独を感じるリスクもあります。
それでも、届けたい相手に届けたい想いが届いたとき、そんな不安は全て吹き飛んでしまいます。

見えないと思っていたゴールが近づいてきたとき、踏み出して良かったと心から思うことができます。

この講座では、私がこれまでに実際悩み、葛藤し、一つひとつ身につけてきた文章による自己発信における心得をご紹介します。
不特定多数の方に文章で自分を表現する上で気をつけるべきポイントや使命感の育み方を、私の経験に基づいてお伝えしていきます。


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コメント: 1
  • #1

    おさない (土曜日, 20 2月 2016 00:20)

    目頭が熱くなりました